ペダリング考察 ── 踏むのは一瞬でいい?



ジイチャンライダーが,ペダリング効率を気にしながらトレーニングをしています。



「効率のいいペダリングの方がパワーが出る」

という命題が必ずしも正しいとは限りませんが,

「同じエネルギーを使うのなら効率がいい方が得」

という命題はかなり正しいだろうと思います。



なにより,限られた力を効率よく使いたいというのは,ぼくのような年寄りライダーにとっては大切な課題です。


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最近学んだこと,考えたことを書き留めておきたいと思います。




【 ペダリングのコツはドリブル? 】


NHK の自転車番組 『チャリダー』 に出演している,猪野学さんが自転車サイト 「Cyclist」 に連載している文章から。

猪野学の坂バカ奮闘記〈13〉

「ペダリングは1日にして成らず」 “39.3%”のどん底からの復活劇 より


 まず最初に取りくんだのが,このペダリングの改善だった。

困った時の 「山の神」 頼みで,森本誠師匠に助けを乞うたところ,バスケットボールでドリブルしろとの事。

ドリブルのボールを弾くタイミングが,ペダルに力を入れるタイミングだと言うのだ。

しかも力を入れるのは一瞬で良いと。



森本誠さんといえば,「山の神」 として有名なクライマー。

そのペダリングのコツが,ドリブルだというのです。



バチンとボールをたたくようなドリブルではなく,手に吸い付くようなドリブルのことを言っているのでしょう。

弾んでくるボールをスッといなすようにして勢いを殺し,

ボールを押し返すときも,ボールの動きに合わせるように押しつける,あのドリブルのことです。


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これを別のイメージに翻訳してみると,ちょうど,子どもが座ったブランコを後ろから押すのと同じイメージだと思います。


ガチンと受け止めたら,子どもにも自分にも大きな衝撃が来てしまいます。

まず,ブランコの勢いが減衰するのにうまくあわせて手を添えます。

これが,11時くらいの位置,上死点近くでペダリングを意識し始めるときのイメージです。


ブランコを押すときは,ブランコが前に行く動きに合わせて力をかけます。

これが,上死点を少し過ぎた辺りからの踏むときのイメージ。


タイミングがうまく合えば,わずかな力を 「一瞬」 かけるだけで,ブランコは大きく揺れ始めます。

まちがったタイミングで力を入れれば,ブランコの動きを悪くしてしまいます。




【 「一瞬」 とは? 】


森本さんは,「力を入れるのは一瞬でいい」 と言います。

勘どころは,この 「一瞬」 のとらえ方だと思います。




物理学の法則をもとにすると,「力は時間とともに働く」 という言い方ができます。

どんな大きな力でも,力をかける時間が短ければ,その効果は小さいです。

逆に,どんな小さな力でも,力をかける時間が長くなればその効果は大きくなります。



力の大きさに時間にかけたものは 「力積」 と定義されます。


  力 × 時間 = 力 積


力積は,速度の大きさを決める要素です。




先ほどの引用文にあった 「一瞬」 がどのくらいの時間なのかということが問題です。

言葉どおり,本当に 「一瞬」 だとしたら,ペダリングの効果はほとんどないことになってしまうでしょう。



森本さんの言う 「一瞬」 は,たぶん,クランクが1時から3時までの位置にあるときのことだと思います。

つまり,この場合の 「一瞬」 は,「効率的にトルクを生み出す部分を踏んでいる時間」 を指しているわけです。


森本さんのように,高めのケイデンスでレースを走る人にとって,それはまさに 「一瞬」 です。


ケイデンス 90 の場合,片側のクランクが1~3時の位置を通過する時間は,約 0.11 秒です。


やっぱり,「一瞬」 ですね。



もちろん,4~5時の位置でもペダルに力をかければ,有効なトルクを発生させることができるわけですが,この辺りでも踏むことを意識すると,下死点辺りでまったく無駄な力を使ってしまうことになります。

そこで,「一瞬」 を意識することで,4~5時の位置では力を急速に減衰させながら,下死点で無駄な力をかけないことをねらっているのです。





ぼくのように非力なライダーにとって,斜度の高い坂を登るときには,どうしてもケイデンスが下がります。



ケイデンスが 60 まで下がると,1~3時のクランク通過時間は,0.16秒。

ケイデンスが 40 まで下がると,1~3時のクランク通過時間は,0.25秒。


踏んでいる時間は 「一瞬」 をもう少し引き延ばしたものになってくるわけです。


計算上は,0.11秒だろうと,0.25秒だろうと,どちらも一瞬のような気がしますが,実際にはどうでしょう。




【 長めの 「一瞬」 もある 】


実走で試してみました。


ケイデンスが 80~90 くらいで,負荷が 250~300W くらいのときには,「クッ,クッ」 と,まさに一瞬踏むペダリングの効率がよかったです。

ペダリングモニターの数値で言うと,60~70%という好結果が出ます。



これに対して,斜度が 10%近くになると,ぼくのケイデンスは 50 程度まで下がります。

こういうときには,「クッ,クッ」 というペダリングは不可能でした。

パワー値が上がらないのです。

つまり,力をかける時間が短すぎるわけです。

ペダルからの反力が大きい上に,力をかける時間が短すぎるので,力の効果である 「力積」 が小さくなるのです。



こういうときには,「グウッ,グウッ」 という 「一瞬」 をもう少し引き延ばしたペダリングが必要になります。



これがそのまま,0.11秒踏むのと,0.25秒踏むのとのちがいではないでしょうが,体感的にけっこうな差が出てくるように思えました。



ですから,ケイデンスが低い場合には,「一瞬」 よりももう少し長い時間踏み続けることが必要になるのだと,感覚的にわかった気がします。


それでもなお,「一瞬」 のイメージは捨てない方がいいでしょう。

それは,下死点近くまで踏みすぎることを防ぐためです。




「一瞬踏む」 を意識するペダリングは,かなり効果的だと思いました。

ただし,「回すペダリング」 とは全く別なものと考えた方がいいような気がしています。

「回すペダリング」 とは,筋肉の使い方がちがうと感じるからです。

場合によって使い分けができるようにしたいと思っています。

これは,また,別の機会に。




さあ,もう少し,練習しよう。

できれば,負荷やケイデンスによって伸び縮みする 「一瞬」 を感覚的に身体に覚え込ませたいと思います。



ロードバイクに乗っていると,景色や自然にも夢中になれますが,こんな理屈っぽいことにも夢中になれます。





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