ロードバイクと慣性の法則 (2)


【回転体の慣性】

さて,前回は,慣性質量の大きさと,巡航速度の関係を書いてみました。

今回は,「ホイールをかえると走りが変わる」ということに関係する内容を書いてみたいと思います。

まず,断っておきますが,ぼくは,ロードバイクの初心者のなで,実際に乗ってどうなのか,ということは,まったくわかりません。

理屈だけの話です。



さて,直線運動の場合,慣性質量は,単純に重さに比例します。
重いものほど,慣性質量も大きい ── 単純です。

しかし,タイヤやホイールのように,回転する物体の場合には,少しちがうところがあります。

回転するものの慣性は,質量だけでなく,回転の中心からの距離も大きな要素なのです。

数式で表現すると,

 「質量 × 半径 × 半径」

が,慣性の大きさを決めます。

半径の2乗がかけ算されています。

これは,「同じ重量のものでも,回転の中心から遠ざかれば遠ざかるほど,慣性質量に相当するものがグングン大きくなる」ということです。

また,「回転の中心から遠い位置にあるものの重量を少しでも変化させると,慣性質量への影響は,ものすごく大きくなる」とも表現できます。


【ホイール軽量化はどこを軽くするか】

これを,ホイール軽量化の視点から考えてみましょう。

ハブは回転の中心からほとんど離れていないところにありますから,ハブを軽量化しても,タイヤの回転に関する慣性に大きな変化は出ません。

それに対して,リムとタイヤ,チューブは,回転の中心から大きく離れています。そこで,半径 × 半径 の値が大きくなるため,少しの軽量化が大きな効果をもたらします。

たとえば,重量級のゴキソハブと,軽量なデュラエースのハブでは100gちょっとの差があります(フロントの場合)。回転の中心からハブの重心までの距離が2cm とすると,数値だけで計算すると,

 100 × 2 × 2 = 400

となります。

ところが,おなじ100g をリム,あるいはタイヤで軽量化するとしたらどうでしょう。回転の中心からタイヤの重心位置までを32cm とすると,

 100 × 32 × 32 = 102400 !

同じ100g の軽量化でも,ハブの位置ではその効果が400にとどまるのに対して,リムやタイヤ(チューブ)なら,まさに桁違いの効果が出てくるのです。

ですから,タイヤやチューブを軽量のタイプに変えれば,確実に軽い動き出しになるはずです。また,急加速にも有利です。

もし,軽量化を加速面で生かそうとするなら,ハブよりもリムやタイヤなどの軽量化比重の大きいホイールが有利です。

でも,メーカーがそんなこともわかっていないはずがないですから,当然,ハブよりもリムを軽量化しているにちがいありません。

また,こんなことを気になってきます。

サイコンのためにスポークにつける,あの小さな磁石。

ホイールの軽量化に燃えている人は,あの磁石をつける位置を少しでも中心よりにしたくなる…,はず?

なにせ,半径の2乗がかけ算されますから。


【あえて重くする】

もちろん,逆のことも言えるわけです。

ロングライド向けのタイヤは対パンク性能なども考慮されているので,自然と重くなるわけですが,これは,回転するときの慣性を大きくする効果が高いので,巡航性能にも優れているのです。

また,一般に,「鉄下駄」などと悪口を言われる重いホイールも,巡航性能に優れていますから,いかにも走りにくそうな,このあだなはかわいそうです。

「いったん加速したなら,くるくる回るよ~!」っていう性質を,知ってもらいたいですね。


これは,マビックのホイールです。

cosmic carbon


左が「コスミックカーボン80」。空力性能を重視したスタイル。
右が「コスミックカーボン アルチメイト」。バランス重視です。

カーポン80の重量は,ペアで1640g。アルチメイトは,1185g。

ここからも,空力を重視したカーポン80は,慣性質量をある程度確保して,高速巡航性能を高めていることがわかります。

ちなみに,ぼくのバイクのホイールは,マビックのアクシウム。重さはペアで,1735gあります。

高速で巡航するよりも,坂道のことを考えると,もう少し軽量化したいなあ。



この土日は,京都の福知山へ出張です。バイクには乗れません。

好きな仕事ですから,楽しみなのですが,休日がつぶれて代休もないことや,ロードバイクに乗れないことはちょっとイヤです。

まだ,桜が残っているといいなあ。でも,猛烈な天気になるとの予報。あ~あ…。


※ ホイールの性能には,ほかにも,ハブの回転性能,剛性,空力性能など,さまざまな要素がありますが,たぶん,重量は最も基本的な要素だと思います。

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Comments 6

まっさん  

タイトル

こんにちは。

これって、丸い円盤に糸を通してブンブン回す、ブンブン回し(←分かります?)を作ると感覚的によく分かりますね^^。軽い紙で作れば、力は要らないけど全然廻らないのに対し、円の淵に重しをつけると力強く引かないとダメだけどグルグル回る。

出張お疲れ様です。京都、雨ですかね^^;。晴れることを祈っております。
ではヽ(´▽`)/

2013/04/05 (Fri) 21:05 | EDIT | REPLY |   

おばさん  

タイトル

エントリーモデルの機材に カンパ シャマルウルトラを装着した時は 感動しました!
その後 フルカーボンの機材に変えた時…期待したほどの違いが感じられず…。あとは エンジンを鍛えるしか無い!と 走っていますf^_^;)
ショップの言いなりにならず、自分で勉強しなければいけませんねf^_^;)
今回の講義を受けて、 物欲がおさまりましたf^_^;)

2013/04/05 (Fri) 21:17 | EDIT | REPLY |   

riki  

まっさん様

そうそう!
あれ,ぶんぶんゴマって言いますけど,まさにそのとおりですよ。
さすがまっさん!
超的確な理解です!

ちなみに,竹とんぼを厚紙と竹ひごで作って,羽根の端っこにうすい板鉛をつけると,めっちゃ飛びます!
これも同じですね。

2013/04/05 (Fri) 21:33 | EDIT | REPLY |   

riki  

おばさん様

うわ!
すごいホイール使ってますね!
意外にも,機材に投資してますね~。

ぼくは,ちょっと禁欲的に,機材の交換は,とりあえず1年乗ってからと,決めています。それまでは,体に投資。

退職金で,どーんといいバイクでも買おうかなどと,夢見ています。

2013/04/05 (Fri) 21:41 | EDIT | REPLY |   

maa  

こんばんは!
ちょっと前から欲しいと思ってるアルミのディープリムがあるのですが、安物なので当然重いです。今日のブログを拝見して用途によっては使えるようなので、物欲が加速してしまいました。(^^;
センサーマグネットですが、慣性とは全く関係なく3×3×10のネオジムを使ってます。磁力が強いのでセンサー本体との距離もとれるし、何より見た目がスッキリして気に入ってます。クランク側も丸型ネオジムでスッキリです。

2013/04/05 (Fri) 23:56 | EDIT | REPLY |   

riki  

maa 様

ディープリムですか。
かっこいいですよね。
いつ,maa さんのバイクとウェア姿に出会えるかな。
楽しみです。

2013/04/07 (Sun) 21:09 | EDIT | REPLY |   

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