アイツは恩人だった



半年ぶりにあいつと顔を合わせることになる。

「できれば見たくない」 という気持ちと,

「あいつなんかどれだけのものだ,たいしたことはない」 という気持ちが入り交じる。


「たいしたことはない」 と思いつつも,あいつとの再会が近づいてくるとドキドキしてくるのがくやしい。

心臓をぐいっと押さえつけてドキドキを止めたいくらいだ。

心拍数なんか見ないぞ。




岩屋ダムを過ぎ,数百メートル走るとあの下り坂にさしかかった。

ぼくは,先頭を走っていた。

慎重にブレーキをかける。

減速のサインを出す。

あいつが見えてくる。




どれだけドキドキするか,実は心配だった。

足がすくむんじゃないかと,不安だった。



でも,実際に行ってみると,なんということのない坂だ。

15_1027_01.jpg

下から見上げてみて,

なぜ,こんなところで後輪がロックしてしまったのかと,力が抜けていくような気がする。




こいつが,ぼくのあごをえぐったコンクリートの塊だ。

15_1027_02.jpg


あらためて見るとずいぶん大きい。

そして,あらためてこの向こう側を見て背筋が寒くなった。

このコンクリート塊の向こうは河原まで 20m ほど切れ落ちている。

15_1027_03.jpg

冷静を装っても,ドキドキしてきた。



こいつが止めてくれなければ,真っ逆さまに落ちていたことだろう。

にっくき相手は,命の恩人だったか。

そっと触れてみたが,少しひんやりとしてザラついていた。

こいつが,守ってくれたか…。






もうこれでいい。

吹っ切れたとか,乗り越えたとかいうようなものではない。

もともと,ここで事故を起こしたことが大きなトラウマになったわけでもない。


ただ,もう一度ここに来て,現場とそのときの状況を確かめたかった。

やはり,「一区切りをつけたかった」 ということだろうか。




これで,大好きな小川峠もまた気軽に来られるだろう。








今回のライドは,美濃を走ることだけが決まっていたのだが,なかさんがぼくの心を見透かしていたかのように,この場所を通るコースを設定してくれた。

以前から,ダイちゃんも 「トラウマ克服ライドにつきあいますよ」 と言ってくれていた。

べつに,ぼくのためにこのライドを計画してくれたわけではないけれど,愉快なメンバーがそろった楽しいライドの中で,この場所を再び訪れることになったのは幸せなことだ。

15_1027_04.jpg


ぼくは,勝手に 「ああ,いい仲間に恵まれた」 と感動していた。


いためた首が痛かったけれど,気分が軽くなった。

この日の空のように晴れやかになってきた。

15_1027_05.jpg




ライドの様子は,また,次回。





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Comments 16

hamo  

タイトル

こんばんは。
歩岐山橋・・・岩屋ダムの近くとのことなので調べてみると…
僕がこの夏走行した場所でした。しかもGPSのデータによると40km/hちょいで駆け抜けていたらしく、自分がもしここで事故をして崖下に転落していたらと思うとこれからより一層下りを慎重に走らねばと背筋が寒くなりました。

お互い気をつけてロードバイクを楽しんでいきましょう。

2015/10/27 (Tue) 21:09 | EDIT | REPLY |   

チャップリン  

タイトル

リキさん、こんばんは!

これで思う存分、走りまわれますね、いつでも御一緒しますよ。(^_^)



・・・・・それにしても、ケンさんって足長いのね!・・・・・・

2015/10/27 (Tue) 21:46 | EDIT | REPLY |   

ひろ@bike  

タイトル

自分が事故を起こした現場というのは、記憶が薄れる事はあっても無くなる事はないですね。自分を戒める意味でもときどきわざとその場を通ったりしています。

僕の目が正しければ住◯さんがいる気がしますが・・フットワーク軽!(笑)

2015/10/27 (Tue) 22:23 | EDIT | REPLY |   

通りすがり  

もはや文学作品

物事につまづいたことのない人はいません。
負傷、撤退、敗戦。
落第、進路変更、退学
降格、退職、免職。
このブログはもはや文学作品の域に成り何としています。
事故現場に舞い戻る。営業の失敗に頭をさげる、納品のミスに謝罪する、こうしたことの最小公倍数のような、それでいて50過ぎた人生の振り返りに十分な手応えを感じさせてくれる作者を、これからも応援します。
頑張らずに頑張ってください。私も頑張ります。
ありがとうございます。

2015/10/28 (Wed) 00:18 | EDIT | REPLY |   

matz  

タイトル

僕もそのポイントでヒヤっとした経験があります

長い下り坂、下った先の右カーブ・・・
そこそこスピードを維持したままカーブへ進入、ところが前のバイクが急減速、衝突を避けようとブレーキング、フロントをかけすぎて、リアが浮き気味に、車体が左に流れ、ヤバいと思ってブレーキリリース、難を逃れました。

2015/10/28 (Wed) 01:07 | EDIT | REPLY |   

のび~  

タイトル

リキさん こんにちは。
一区切りライドお疲れさまでした。

人の能力の1つに「忘れる」があります。
例え心臓を鷲掴みにされたようなコトでも、その後の日々の積み重ねの中で自分なりに咀嚼して、気付けば「あれ?」ってなってる。
これからも出会いやライドで感動を重ねて、ロードバイクを楽しみましょう♪

2015/10/28 (Wed) 10:02 | EDIT | REPLY |   

Fosetta  

タイトル

事故を起こした場所に行けたってのは、大きいと思います。私は車でですが、追突された道は1か月位は避けて通ってました。

行けた事で、事故はリキさんの中でようやく終わったのでは無いのでしょうか?

2015/10/28 (Wed) 11:06 | EDIT | REPLY |   

こー  

澄んだ空に紅葉と、コバルトブルー勝負ベストのコントラストが美しいですね。

2015/10/28 (Wed) 16:25 | EDIT | REPLY |   

リキ  

hamo 様

hamo さん,こんばんは。

そうでしたか。
すごい急坂ではないのですが,そこまでも下り基調でスピードが出てしまいがちですね。
お互い,慎重に行きましょう!

2015/10/28 (Wed) 16:57 | EDIT | REPLY |   

リキ  

チャップリン様

チャップリンさん,こんばんは!

まだ,首かせがとれないので,思う存分とは行きません。
もう少し,おとなしい日々が続きます(笑)

2015/10/28 (Wed) 16:59 | EDIT | REPLY |   

リキ  

ひろ@bike様

ひろさん,こんばんは。

そうですね。
つねに,戒めを意識していないと,またぼくは油断してしまいます。

住○さん?
あんな遠くの人が来るわけないでしょ。
いくらフットワークが軽くても,それはありえま…

ア,ほんまや!

2015/10/28 (Wed) 17:02 | EDIT | REPLY |   

リキ  

Re: もはや文学作品

温かいお言葉,ありがとうございます。
心にしみました。

お言葉通り,がんばらないようにがんばります!
いただいたコメント,永久保存版とさせていただきます!

2015/10/28 (Wed) 17:06 | EDIT | REPLY |   

リキ  

matz 様

matz さん,こんばんは。

さすがですね。
パニックに陥ったときに,ブレーキリリースなんて,ぼくには無理です。
でも,そうした訓練も必要なのでしょうね。
あ,訓練なんかしたら,そこで大ケガしそう。
いったい,どうしたら…笑

2015/10/28 (Wed) 17:08 | EDIT | REPLY |   

リキ  

のび~様

のび~さん,こんばんは。

そうですね。
忘れるというのも,心の健康のためには必要なことなのかもしれません。
出会いと感動で,傷を埋めていくのもいいですね。

2015/10/28 (Wed) 17:10 | EDIT | REPLY |   

リキ  

Fosetta 様

Fosetta さん,こんばんは。

いい意味で終わりにして,これから先に生かすためには,簡単に終わりにしてはいけないんでしょうね。
楽しく乗り続けます!

2015/10/28 (Wed) 17:12 | EDIT | REPLY |   

リキ  

こー様

こーさん,こんばんは。

勝負ベストの美しさを青空とともに表現してみました。
渾身の一枚です!
こーさんにも,絶対に似合うと思いますよ。
次回は,なかさんとおそろいで!

2015/10/28 (Wed) 17:13 | EDIT | REPLY |   

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