泣きが入った 辛かった (1)



向かい風,急坂,長くて先の見えないトンネル…。

「まったくもう,こんなところ二度と来るもんか」

と何度も悪態をつきながら,一人でひたすら走った。

踏んでも踏んでも速度は上がらず,仲間の背中はいっこうに見えてこない。




果てしのない一人旅。

ぼくが仲間から千切れて一人で走った距離は,120km のうち,50km 以上にもおよぶ。

久しぶりに泣きが入った。



これが,今回ぼくを一人だけ置き去りにしたメンバーだ。

15_0504_14.jpg

みんな楽しそうに笑っているのはなぜだ。











今回のライドは,shiga さんが山岳ブルベのコースの中から,とくにきつい部分をピックアップしたものだ。

それを 「美味しいとこだけつまみ食い」 と表現するのだから,推して知るべし。



道の駅 信州平谷に集合。

15_0504_02.jpg

INA さんがお見送りに来てくれた。

ありがとう。



さて,このコースは,いきなりの登りから始まる。

しばらく走って 「さあ,ここから登りです」 などという設定ではない。

いきなり 5km,5 % の治部坂峠の出迎えを受け,

下るとすぐまた寒原峠に向かう。

15_0504_03.jpg

その後,25km はひたすらアップダウンの繰り返し。

ゆったりと平地を流すという場面は,一切ない。



アップダウンが終了したと思ったら,

6km,6 %の登りを経て,やっと 道の駅 信州新野千石平へ。



ここまでで,ぼくの力は尽きた。



とくに,阿南町の帯川トンネルはきつかった。

全長は 1.5km くらいで,上り勾配は平均で 6%もある。

しかも真っ暗だ。

その上,ゆるくカーブしているのか,出口がまったく見えない。

そこへ,トンネル独特の車の音が襲いかかってくる。

音を聞いても,前から来るのか,後ろから来るのかわからない。

すぐ近くなのか,ずいぶんと遠くからなのか,距離感もつかめない。

暗くて,長くて,きつい坂というだけでも辛いのに,この音はさらに心理的な圧迫感を増す。

これほど怖くて辛いトンネルは初めて。



ここを抜ける頃には,抜け殻のようになっていた。

もう,下しか見ていないぼくだった。

15_0504_04.jpg

こんなに山が青いのに。

15_0504_05.jpg




途中,shiga さんが

「リキさん,ここ,ループトンネルだよ」

とわざわざ声をかけてくれた。

しかし,ぼくには shiga さんの言葉の意味さえも理解できなかった。

珍しいところだから写真を撮ろう,という脳の働きも麻痺していたのだ。



ここまで 50km 以上を走ってきたのに,撮った写真が数枚というのは,ぼくにしてはあり得ないほど少ない。

それは,休憩がほとんどなく,きつい登りと高速の下りしかなかったということ。

車の来ない林道の登りなら写真を撮ったりするのだけれど,車がビュンビュン走る道の登りは,怖くて写真など撮っていられない。



つまり,心の余裕がない登りである。

ひたすらトレーニングをしていると思うしかない。


ま,もともと shiga さんは

「今日は登りと下りだけ,景色のいいところなんてないよ」

と言っていた。

いさぎよく言葉通り,掛け値無し。



途中からは shiga さんに牽いてもらって,道の駅 信州新野千石平が見えたときは,心底ホッとした。




ところが!

shiga さんの口から出た言葉は,

「この先,5km の新野峠を登って下りてきたら休憩ね!」

「ええ~!?」



このときだ。

NAO-TCR さんが

「リキさん,今,心の折れる音が辺りに響いたよ」


はい,その通りでございます。

もうぼくは走れません。

道の駅で待ってます。



ということで,一人だけここで待っていることにしようと思ったら,

結局みんな登らず。

一人先行していた路くんだけが新野峠を攻略して帰ってきたのだった。






休憩を取って,このあとは,今回のボス 平谷峠に挑む。



少しは回復しているかと思いきや,足は重く,心はさらに重かった。

みんなといっしょに走れたのは道の駅を出発して数分だけ。



このあたり,どこへ行っても色の濃いハナモモが植えてある。

15_0504_06.jpg

きれいだ。

と,そんな余裕はあっという間になくなり,すぐに千切れてしまった。



売木 (うるぎ) の交差点でみんなが待っていてくれたが,そのあとはまた一人旅。



まあいいさ,5km 程度の登りだ。

ゆっくり登ろう。



と余裕をかましていたのは,中盤まで。

最後の 1.5km ほどは,平均斜度が 10%を超える登りだった。

なんだこれは!

15_0504_07.jpg


もう,泣けてきそうなので,ところどころで止まっては写真を撮る。

きついぞ!

15_0504_08.jpg

きついぞ!

もう,泣けてきそうなのを通り越して,笑うしかない。




とつぜん,目の前が広がるようなヘアピンカーブがあった。

15_0504_09.jpg

「ここまで登ってきた!」

という景観のご褒美があったので,今日のところは許してやろう。

15_0504_10.jpg

とか何とか言いながら,這々の体でみんなの待つ平谷峠展望台へ到着。

今期一番きついライドになったと実感した。

15_0504_11.jpg







6km の豪快な下りを楽しんだ後,スタート地点の 道の駅 信州平谷 へ到着。

15_0504_12.jpg

道の駅周辺に植えられたたくさんのハナモモが,ちょっとだけ疲れを癒やしてくれる。

15_0504_13.jpg






「この後,どうする?」


今回はコースは,ちょうど8の字のようになっている。

つまり,出発地の道の駅は,経由点の一つでもある。

15_0504_15.jpg


その半分を走った。

ぼくはもう十分だった。

しかし,

「せっかく 獲得標高 3000 のつもりできたのだから,もちろん走る」

と誰かが言い出し,昼食後に出発と相成った。



ぼくは,真剣にこのまま帰ろうかと思った。

だめだめ! 気持ちが負けていてはダメだ。

それでも,気持ちと脚が回復していないことは確かだ。

ここはがんばるしかないのだ。



ayu さんが,ブログ記事に中原中也の詩を紹介していた。

その一節

   考えてみれば簡単だ
   畢竟 意思の問題だ
   なんとかやるより仕方もない
   やりさえすればよいのだと



あと 50km !

やりさえすればよいのだ!


わたくしの運命や如何に!




── つづく





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Comments 18

路  

タイトル

リキさん、こんばんは。

昨日はお疲れさまでした。
今回のメンバーは皆ブルベを走る猛者ばかりでしたからね。
リキさんのお気持ちは痛いほどわかります。
ボクも行程の半分以上は一人で走らされましたから、、、
これがツーリングではなく、ブルベの世界なんだ、、、と。
これは初心者には、ていのいいイジメですね。
いやぁ、ホント参りました。。。(o´Д`)=з

2015/05/04 (Mon) 18:55 | EDIT | REPLY |   

モト  

タイトル

ほんとお疲れさまでした!

苦行ですね・・・ただの苦行でしかないです。v-394

次回の記事ではリキさんらしさの出てることを願います。

最近ではリキさんのことをライバルではなく師匠、もしくは先生と呼ばなければいけないようになってしまいました。v-406

苦しまないと速い自転車乗りにはなれないのですもんね・・・少し頑張ります(笑)

2015/05/04 (Mon) 19:16 | EDIT | REPLY |   

shiga  

タイトル

はーい!置き去りにした張本人です(^^;;
ホストに回ろうとしたのですが久しぶりのオルトレでついつい踏んじゃいました~(^^;;
まあ、そこはshigaのsはsのsということで・・・

少しはブルベ気分味わえていただけたでしょうか、あんなとこを真夜中に一人で走らされます。
も~嫌や!と言いながらまた走っちゃうんですよね~ホントMだわ!

次回は「これがマッタリ!事実編」を企画しますのでぜひご参加ください。
でも、スパイスは用意しておきますね。

2015/05/04 (Mon) 21:01 | EDIT | REPLY |   

カンパチ  

なんと、凄烈な!

 リキさん、こんばんは。

凄いところを走るんですねー。
ホント、お疲れ様です。

 標高が高いと花の色が鮮やかですね。
桃の花の無邪気さもいいですが、ハナモモの
花で勝負する覚悟が伝わってくるどぎつい程
の花色も潔くて見事です。

2015/05/04 (Mon) 21:18 | EDIT | REPLY |   

INA55  

タイトル

ジイチャンライダーさん、お疲れさまでした。

やっぱりDNSして正解でした。
あらためて景色を見るとやっぱり辛いや

次回はたぶん参加しますので一人旅にならないと思いますヨ。

2015/05/04 (Mon) 22:12 | EDIT | REPLY |   

KOU  

rikiさん、こんにちは。
rikiさんが泣きが入るなんて…恐ろしい、恐ろしすぎる((((;゚Д゚)))))))
伊吹以降、自分の遅さを再認識し、こんなんじゃ皆さんと走れないと思い、嫌がらずに坂道行ったりしようかななんて甘いこと思ってましたが…どんどん背中が遠くなります(^^;;
チョットでも近くに行けるように頑張ってみます…できる範囲で^^;

2015/05/05 (Tue) 13:17 | EDIT | REPLY |   

gottu  

こんにちは。先日のダメージがひどくコメント書くのが遅くなりました。
実は僕も途中結構一人旅。「路案内」は登りになると平地以上のペースで見えなくなるし(笑)。しかし、トンネル本当に怖かったですね、この時も一人旅だったのでバーエンドミラーを必死で見ながら一人わーわーと大声をあげながらベルをチンチン鳴らし続けました。(^^;;
それにしても、リキさんらしく無いタイトルw吃驚!

2015/05/05 (Tue) 14:06 | EDIT | REPLY |   

リキ  

路 様

路くん,こんばんは。

疲れさまでした。

どう返事を書けばいいのか…。
おたがい,一人旅は辛いですね(笑)

ブルベには一生縁がないと思います。
また,同じようなことになったら,迎えに来てね。

2015/05/05 (Tue) 18:22 | EDIT | REPLY |   

リキ  

モト様

モトさん,こんばんは。

はい,苦行です。ブルベとは苦行なんですね。
モトさん,こんな苦行にあえて身を投じているなんて…,
尊敬します。師匠と呼ばせてください。

ぼくも,少しがんばります(笑)

2015/05/05 (Tue) 18:24 | EDIT | REPLY |   

リキ  

shiga 様

出たな,張本人!(笑)

お世話になりました。
終わってしまえばおもしろかったと思うのですが,そのときは,もう…(笑)

「これがマッタリ!事実編」 ── 怖すぎる!
たぶん,スパイスだけでしょうね(笑)

2015/05/05 (Tue) 18:26 | EDIT | REPLY |   

リキ  

カンパチ様

カンパチさん,こんばんは。

恐ろしいライドでした。
ハナモモはたしかにどぎついほどの色ですね。
町中に植えて,地域を盛り上げようという雰囲気にあふれていました。
ゆっくり走ればいいところなんですけどね~(笑)

2015/05/05 (Tue) 18:32 | EDIT | REPLY |   

リキ  

INA55 様

INA さん,こんばんは。

先日はありがとうございました。
ぼくも,途中で DNF を真剣に考えましたよ。

せっかくおつきあい願えるとのことですが,次回は都合が悪くなりそうです(笑)

2015/05/05 (Tue) 18:34 | EDIT | REPLY |   

リキ  

KOU 様

KOU さん,こんばんは。

大丈夫!
ぼくは KOU さんを置き去りにはしませんよ!
ゆっくりがんばりましょう。
楽しく走るのが一番!

2015/05/05 (Tue) 18:38 | EDIT | REPLY |   

リキ  

gottu 様

gottu さん,こんばんは。

その節はおつきあいいただき,ありがとうございました。
あのトンネルのときは,ぼくがすぐ後ろにいましたよ!
ベルをチンチンがすっごく怖かった(笑)

つづきもぼくらしくない(ぼくらしい?)内容で行きます!(笑)

2015/05/05 (Tue) 18:41 | EDIT | REPLY |   

the_32o  

あそこを走ったんですね!
お疲れさまでした!
私もコテンパンにやられましたw (゚∀゚:)
トラウマになりかねないコースですよねw

でも不思議、今度の週末にまた走ってきますw
夜に走ると星がキレイですよ!

2015/05/05 (Tue) 22:01 | EDIT | REPLY |   

いま  

タイトル

いや~猛者揃いですね~。
ブルべな人達は○態な人達とは薄々感づいていましたが。

山好きな人々も変○と思っていましたが、更に上を行きそうですね。

でも、景色とグルメファンライドしか興味の無い私も、猛者達の強さには憧れます。
余裕が出来そうですからね。

リキさんの心の葛藤、見習わなければ。

2015/05/06 (Wed) 20:24 | EDIT | REPLY |   

リキ  

the_32o 様

32o さん,こんばんは。

そうなんですよ。
走りました。
すでにトラウマ!(笑)

でもね,いくら星がきれいでも,あの道を夜に走る気にはなれません。
ブルベな人々は基本の強さがちがいますね。

2015/05/06 (Wed) 20:28 | EDIT | REPLY |   

リキ  

いま様

いまさん,こんばんは。

ぼくも同じですよ。
景色とグルメ,それがなければライドじゃない,くらいに思っています。
それでも,強さに憧れます。
ですから,ついついこんなライドに参加してしまうし,ローラーを踏んでいるわけです。
自転車乗りには,そういう性があるんでしょうね。

2015/05/06 (Wed) 20:31 | EDIT | REPLY |   

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