ロードバイクと空気抵抗 その2 抵抗力の実体



さて,前回は,空気抵抗の一番基本的なことを書いてみました。

今回は,空気抵抗とはどんなものか,その具体的な姿を,理科的考察として書いてみたいと思います。

そもそも,空気から抵抗を受けるというのは,何がどうなることなのでしょうか。



空気は,窒素や酸素の分子の集合体です。
一つの「かたまり」とも言えるものですから,それにぶつかっていけば,抵抗を受けるのは当然です。

ただし,空気は壁のような固体ではなく,流体ですから,抵抗を受けますが,かき分けて進むことができます。

人が空気をかき分けて進むと,かき分けられた空気は,体の側面を伝って後ろに流れます。すると,背中側には,空気の薄い部分ができます。

空気が薄い = 気圧が低い,ということです。

背面低気圧


空気は,気圧の高い方から低い方へ流れますから,気圧の低い方はものを引っ張り込む作用を持ちます。

つまり,ロードバイクに乗った人が高速で移動すると,体の後ろ側に気圧の低い部分ができて,そこに向かって自分の背中が引っぱられるのです。

後ろ向きに引っぱられれば,とうぜん,速度は上がりにくくなります。

その上,体の後ろ側には,カルマン渦という,乱れた空気の流れが発生します。
空気がつぎつぎと渦巻きを作りながら,後ろ方向へ流れていくのです。

        カルマン


この渦は,左右に振動するように現れ,移動する物体は無用な振動にも巻き込まれます。

この渦巻きのせいで,空気の流れがますますスムーズでなくなり,進行方向と反対向きの力が走者に加わります。

こうして,空気そのものにぶつかる抵抗 + 背面にできる低気圧に引っぱられる,などで,ロードバイクに乗る人は,進行方向と反対向きの大きな力を受けることになります。

これを総称して,「空気抵抗」と呼んでいます。

ローディーは,これと戦うことを強いられるわけです。


もしも,かき分けた空気が,とてもスムーズに後ろへ流れて行ってくれれば,空気抵抗は,空気にぶつかる分だけですむことになり,楽になります。

これを可能にするのが,いわゆる「流線形」です。

タイムトライアル用のバイクやヘルメットには流線形が使われています。

IMGP1637.jpg


ヘルメットの後ろ側が長く伸びているのは,背面の低気圧部分やカルマン渦のような乱れた空気の流れを作らないようにして,空気を後ろ方向へスムーズに流すためなのです。

空気抵抗に関しては,「前面投影面積が小さい = 風にさらされる面積が小さい」 ということが重要ですが,それと同じくらい重要な問題が,「いかに空気を後方へきれいに流してやるか」 ということです。

しかし,タイムトライアルヘルメットのように,自転車乗りの背中に長いしっぽをつけて,全体を流線型にすることはなかなかできません。そこで浮かびあがってくるのが,実は,ドラフティングです。

ドラフティングというのは,集団を形成することで,空気を後方へきれいに流してやる技術なのです。


次回は,このドラフティングについて,理科的な考察を書いてみたいと思います。


【おことわり】
このシリーズは,理科的な知識を頼りに,初心者が書いていますので,実際自転車に乗るときには,条件がいろいろとちがってくる可能性があります。その点はご容赦を。


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Comments 20

ツールド焼き鳥  

理科大好きです

お久しぶりです\(^o^)/

このシリーズ大好きです(*´ω`*)

riki先生の授業なら、居眠りしないで受けれそうです(笑)

2013/07/11 (Thu) 21:09 | EDIT | REPLY |   

やん  

タイトル

なるほど〜
前からだけじゃなく後ろからも引っ張られているんですね?
勉強になります!次回も楽しみにしています。

2013/07/11 (Thu) 21:13 | EDIT | REPLY |   

riki  

ツールド焼き鳥様

ありがとうございます。
そう言っていただけると,すごくうれしいです。

もともとは,誰かに教えてあげるものではなく,自分で整理し,まとめておきたくて書いているシリーズですが,それが,喜んでもらえるのは望外の喜びです。

空気抵抗については,もう少し書きたいことあります。よろしければ,あと回くらい,おつきあいのほど,よろしくお願い申し上げます。

2013/07/11 (Thu) 21:14 | EDIT | REPLY |   

riki  

やん様

はい,そうなんです。
この後ろ側のやっかいな奴らに対して,ローディーは直接手出しできないので,トレインを組んで対抗します。

実はこのシリーズ,やんさんの牽きをきっかけに,着想を得て書いています。
感謝!

2013/07/11 (Thu) 21:19 | EDIT | REPLY |   

コギコギ  

タイトル

単独で走るより誰か後ろについてもらっている方が楽
という感覚の理論的裏付けが得られたようで嬉しいです。
耐久レースの時に後ろに付かれるのを嫌って
逃げ回る人がいますが無駄って事ですよね。
そのまま後ろを引き連れて誰かの後ろに着く方が得策って事ですよねぇ~

2013/07/11 (Thu) 21:54 | EDIT | REPLY |   

riki  

コギコギ様

コギコギさんにそう言ってもらえると,なんか,すごくうれしいです。

レースに出たことがありませんが,逃げるのは得策ではありませんね。
ゴールという共通の目標があるのなら,とりあえずは共闘態勢で,お互い楽した方がいいのにね。知識は平和に貢献すると思います。

2013/07/11 (Thu) 22:23 | EDIT | REPLY |   

こー  

タイトル

こんばんは。

僕にでもすっごく分かりやすいです!
rikiさんの解説ならもっといろんな事、知りたくなります(^^)

早速ですが日曜の課外授業で分かりやすいドラフティングの体験学習を期待していますよ(笑)
どうぞよろしくお願いします!


2013/07/12 (Fri) 01:22 | EDIT | REPLY |   

KOU  

rikiさん、おはようございます。

空気抵抗って何気なく会話ではしゃべりますけど、奥が深いですね。
まだ、ドラフティングもよくわかりませんが、高速走行時やロングライドでは、大きく違ってくるのでしょうね。
その前にドラフティングに入れてもらえる様に脚を鍛えねば(~_~;)

2013/07/12 (Fri) 07:01 | EDIT | REPLY |   

riki  

こー様

ありがとうございます!

では,さっそく,やってみましょうか。
あ,でも,頭でわかるのと,できるのとは別ですからね~。
とりあえず,あんまり速くない速度でくっついて走ってみましょうか。
でも,今回は平地が少なそうだから,どうかな~(笑)

2013/07/12 (Fri) 07:48 | EDIT | REPLY |   

riki  

KOU 様

そうなんですよ。速い人の後ろに着くと,基本的には,その人について行ける脚がないと,恩恵にあずかる範囲には入れないんですよね。

何とか楽をしたいという考えが基本にあるので,結局,楽することを考える前に,脚を鍛えろって言う結論かな(笑)

2013/07/12 (Fri) 07:53 | EDIT | REPLY |   

ぴよぴよ  

タイトル

たいへん役に立つ面白い記事ですね。
ドラフティング列車内では、先頭の次に疲れるのは最後尾だと思っていましたが、先頭を走った直後だからではなくて、やっぱり後ろから引っ張られるからなんですね。

誰かが後ろに付いてくれたら明らかに楽になると思っていたのも、理由があったんですね。
次も楽しみにしています。
エアロヘルメットを買うかどうか迷っています(^^ゞ。
エアロジャージを自作してみようかなと迷って・・・・・いません(^^ゞ。

2013/07/12 (Fri) 08:12 | EDIT | REPLY |   

チャップリン  

タイトル

rikiさん、こんにちは!

先週の茶臼山の帰りに不思議な体験を!

数人での帰り道、ベテランの方が・・・・・・・ワタクシの後ろにピッタリ、なぜか脚がクルクルと???
緩やかな下り基調だったので、その為かなと思っていたのですが、もしかしてドラフティング体験?


別れる時ベテランの方から嬉しい一言が【走り易かったですよ!】(^v^)ムフフ!

2013/07/12 (Fri) 08:13 | EDIT | REPLY |   

おばさん  

タイトル

おばさんにでもとても解りやすい講義 有り難うございます!ドラフティングとローテーションの練習をした時に、油断して 最後尾につき損ね 見事な千切れっぷりを体験し ドラフティングの恩恵の有り難みを痛感した経験がありますf^_^;)
ほんのわずかな間でしたが、無風 無音…と言うか クランクの回る音と タイヤの音?だけの空間を体験しました。
空気の流れに乗れた瞬間だったのかなぁ…
また 乗って見たいなぁ…

2013/07/12 (Fri) 12:35 | EDIT | REPLY |   

riki  

ぴよぴよ様

列車の中では,空力的に2番目が一番楽だという結論のようです。
後ろをついてきてくれる人がいると楽になるというのは,人生のようですね。

ぴよぴよさん自作のエアロジャージ,みてみたいです(笑)

2013/07/12 (Fri) 14:45 | EDIT | REPLY |   

みっちゃま  

タイトル

rikiさん こんにちは〜♪

とっても分かりやすいです!!
オトナになって、新しい事を学ぶって楽しいですねっ。
前からの風だけじゃなくて、後ろからも引っ張られてるとは・・・驚きです。

ん??ってことは・・・3人で走った時は、2番目の真ん中で走った方がラクってことなんですね〜。

2013/07/12 (Fri) 15:55 | EDIT | REPLY |   

riki  

チャップリン様

チャップリンさん,こんにちは!

それはもう,りっばなドラフティング体験だったかもしれませんね!
そして,最後の一言はうれしいですよね。
やっぱり,仲間と走るのはいいものです。

2013/07/12 (Fri) 16:04 | EDIT | REPLY |   

riki  

おねえさん様

いったん切れると,そのあと追いつくのにすごくエネルギー使いますよね。
練習と同じですね。コンスタントに続けているといいんですが,少し間をおくと,追いつくのがたいへんです。

空気の流れの狭間に入った瞬間の静寂は鳥肌ものですね。

2013/07/12 (Fri) 16:08 | EDIT | REPLY |   

riki  

みっちゃま様

みっちゃまさん,こんにちは~♪

その通りですっ! 正解!
理屈から行くと,3人トレインなら,2人目が一番楽できます。
ただし,先頭の人について行ける脚力がある場合に限ります(笑)

2013/07/12 (Fri) 16:12 | EDIT | REPLY |   

yasu  

rikiさんの説明はわかりやすくて好きです(^。^)
知っていると思ってことでも なるほどと納得させられます。
続きが楽しみですよ♪

2013/07/12 (Fri) 21:49 | EDIT | REPLY |   

riki  

yasu様

ありがとうございます!

ベテランの先輩からそう言っていただけると,「いや~,何にもわかっていない初心者なのに,申し訳ありません」と,首をすくめたくなってしまいます。

つぎも,がんばって書きます!

2013/07/12 (Fri) 21:58 | EDIT | REPLY |   

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